マラソン計画ツール
サブ4ペース計算
目標タイムとペース配分を選ぶと、5kmごとの通過タイム、前半と後半の1kmラップ、そのまま腕に巻けるペースバンドまで出ます。持ちタイムを入れれば、その目標がいまの走力から見て現実的かどうかも判定します。登録なしで使えて、入力した内容はこの端末から出ません。
目標ちょうどで計画すると、計画どおり走ってフィニッシュが目標タイムと同じになります。号砲からスタートラインまでのロスやGPSの誤差はそこに乗るので、1分引いておくのが安全です。
後半を2%上げる配分です。序盤は「遅すぎるのでは」と感じますが、その感覚が出ているうちは抑えられている証拠です。30km以降に残す余力を、前半で作っておく考え方になります。
| 地点 | 通過タイム | 区間ペース |
|---|---|---|
| 5km | 28:36 | 5分43秒/km |
| 10km | 57:13 | 5分43秒/km |
| 15km | 1:25:49 | 5分43秒/km |
| 20km | 1:54:26 | 5分43秒/km |
| 中間 | 2:00:42 | 5分43秒/km |
| 25km | 2:22:35 | 5分36秒/km |
| 30km | 2:50:37 | 5分36秒/km |
| 35km | 3:18:39 | 5分36秒/km |
| 40km | 3:46:42 | 5分36秒/km |
| フィニッシュ | 3:59:00 | 5分36秒/km |
1kmラップは前半5分43秒/km・後半5分36秒/kmです。中間点でペースを切り替えるので、20km地点までは前半のラップを守ってください。
計画タイム3時間59分00秒に対して5分29秒速い予測です。残りの課題は走力よりも、当日のペース管理と補給です。月に1〜2回、30km前後の距離を計画のペースより30秒/km遅いくらいで踏んでおいてください。
この結果を保存 — また戻って、どう変わったか確かめましょう。
無料 — カード不要、30秒。結果はそのまま引き継がれます。
この配分で走りきるための練習を、いまの1週間に合わせて組み直します。
| 5km | 28:36 |
| 10km | 57:13 |
| 15km | 1:25:49 |
| 20km | 1:54:26 |
| 中間 | 2:00:42 |
| 25km | 2:22:35 |
| 30km | 2:50:37 |
| 35km | 3:18:39 |
| 40km | 3:46:42 |
| フィニッシュ | 3:59:00 |
印刷すると、このバンドだけが1枚に出ます。リンクには目標・余裕・戦略・持ちタイムが入るので、そのままチームやコーチに渡せます。
なぜサブ4を「4時間ちょうど」で計画してはいけないか
サブ4とは4時間を切ること、つまり3時間59分59秒以内でフィニッシュすることです。ところが多くの人が、4時間00分00秒を目標タイムとしてペースを計算します。この計画には余裕がひとつもありません。計画どおりに42.195kmを走りきって、時計はちょうど4時間00分00秒。どこかで数秒でも遅れた時点で、サブ4は消えます。
そこに、計画の外側にあるロスが乗ります。規模の大きい大会では、号砲が鳴ってから自分がスタートラインを踏むまでに、数十秒から数分かかります。ネットタイム(スタートラインを越えてからの計測)で判定される大会ならこの時間は影響しませんが、グロスタイム(号砲からの計測)で公式記録が残る大会では、そのままタイムに乗ります。エントリーした大会がどちらなのかは、募集要項に必ず書いてあります。
もうひとつのロスは距離です。コースの42.195kmは、最短距離(各カーブの内側を通るライン)で測られています。実際にはカーブの内側を走れず、給水所で膨らみ、前の人をよけ、道の中央を走ります。GPS時計が42.6kmや42.8kmを表示するのはこのためで、時計が壊れているわけではありません。0.5km余分に走れば、サブ4のペースでは3分近くになります。
このページが既定で目標から1分引くのは、この2つを置くための場所です。4時間00分00秒ではなく3時間59分00秒。この1分は、遅れたときに取り返すための余裕ではなく、最初から失うとわかっているものの置き場所だと考えてください。余裕は0秒から2分まで選べます。GPS時計だけを見て走るつもりなら、1分以上をおすすめします。
イーブンとネガティブの選び方
ペース配分の選択肢は3つです。前半と後半を同じペースで走るイーブンペース、後半を速くするネガティブスプリット、前半で貯金をつくるポジティブスプリット。結論から書くと、市民ランナーが選ぶべきなのは前の2つのどちらかです。
理由は根性論ではなく、体の仕組みの側にあります。ペースを上げるほど、エネルギーに占める糖質の割合が増えます。前半で速く走ることは、後半に残しておくべき糖質を先に使うことと同じです。加えて、速いペースは着地の衝撃も大きく、筋肉のダメージが早く積み上がります。前半で稼いだ1分の貯金は、後半で2分以上の借金になって返ってくる。世界記録も、市民ランナーの自己ベストも、ほとんどがイーブンかわずかなネガティブスプリットで出ています。
そのうえで、ポジティブスプリットにも使いどころはあります。前半に長い下り、後半に上りがあるコース。後半に強い向かい風が確実に吹く海沿いのコース。気温が上がる時間帯に後半がかかる大会。こうした条件では、前半でわずかに貯金をつくるほうが合理的です。ただしそれは「コースがそうだから」であって、「今日は調子がいいから」ではありません。スタート直後に体が軽く感じるのは全員に起きることで、走力の証拠ではありません。この配分を選ぶなら1%までにしてください。3%は、前半を飛ばして30kmで歩く典型的なパターンそのものです。
ネガティブスプリット2%は、前半を平均より少しだけ抑える配分です。サブ4なら前半5分43秒/km、後半5分36秒/km。序盤は「遅すぎるのでは」と感じるはずですが、その感覚があるうちは抑えられている証拠です。フルマラソンでは、10km地点で余裕を感じないほうが問題です。
30km以降に何が起きるか
マラソンが30kmから別の競技になる、と言われるのには理由があります。体に蓄えられる糖質(グリコーゲン)は、筋肉と肝臓を合わせて1500〜2000kcal分ほどです。フルマラソンで使うエネルギーは、体重60kgの人でおよそ2500kcal。単純な引き算で足りません。足りなくなる場所が、ちょうど30km前後になります。
糖質が尽きると、体は脂肪を主な燃料に切り替えます。脂肪は誰でも十分に持っていますが、同じ酸素量から取り出せるエネルギーが糖質より少なく、分解にも時間がかかります。結果として、同じペースを保つための出力が出せなくなる。これが「30kmの壁」の正体で、意思の強さの問題ではありません。急に1kmあたり30秒落ちる、視野が狭くなる、簡単な計算ができなくなる。心当たりのある人も多いと思います(脳も糖質で動いているので、頭が働かなくなるのも同じ理由です)。
対策は2つだけです。ひとつは、レース中に糖質を入れ続けること。45分ごとに1本というジェルの目安は、この引き算から出ています。もうひとつは、前半で糖質を使いすぎないこと。ネガティブスプリットが有効な理由は、心理面だけでなく、この燃料の使い方の面からも説明がつきます。30km以降にできることの大半は、30kmより前に終わっています。
ペースバンドの使い方
ペースバンドは、5kmごとの通過タイムを書いた紙を腕に巻いたものです。GPS時計がある時代に紙、と思われるかもしれませんが、時計より確実な場面があります。ビル街やトンネル、木の多い区間ではGPSが乱れ、表示ペースが実際と大きくずれます。ラップの距離もずれるので、時計の「30km」とコースの30km地点の看板が数百メートル食い違うことがあります。コースの距離表示は主催者が実測したものなので、正しいのはそちらです。
使い方は単純です。5kmごとの看板を通過したら、時計の経過時間とバンドの数字を比べる。それだけです。差が30秒以内なら計画どおり。前半で1分以上速いなら、調子がいいのではなく、単にオーバーペースなので落としてください。後半で遅れているときは、取り返そうとしないでください。マラソンの後半にペースを上げられる人はほとんどいませんし、そこで無理をすると、遅れが数分から十数分に広がります。
印刷ボタンを押すと、このページからペースバンドの表だけが1枚に出ます。汗と雨で必ず濡れるので、透明テープを両面に貼るかラミネートして、腕に巻ける幅に細く切ってください。ゼッケンの裏に貼っておくのも確実な方法です。
持ちタイム換算の限界
実現度チェックにはリーゲルの式を使っています。ある距離の記録から別の距離の記録を予測する式で、フルマラソンの予測は「その記録 ×(42.195 ÷ その距離)の1.06乗」で計算します。1977年にPeter Riegelが複数の競技の記録から求めた指数で、いまも標準として使われています。
この式には大きな前提があります。「その距離に見合った練習を積んでいる」ことです。ハーフを1時間52分で走れる人がフルを3時間53分で走れるのは、ハーフの走力に釣り合うだけの走り込みをしている場合に限られます。5kmと10kmだけを速く走ってきた人、月間走行距離が100kmに届かない人がこの式に記録を入れると、実際のフルは予測より10分から30分遅くなるのが普通です。フルの結果を決めるのは、この式が見ていない部分——ロング走の量と、レース当日の補給です。
距離が近いほど予測は当たります。ハーフからの換算はかなり参考になり、10kmからはやや甘めに出て、5kmからの換算はスピード型の人ほど楽観的な数字になります。持ちタイムを選ぶときは、いちばん長い距離の記録を使ってください。
判定が「現実的」と出ても、それは「いまの走力なら計算上は届く」という意味であって、「当日そう走れる」という意味ではありません。逆に「挑戦的」と出ても、レースまでの期間が十分にあるなら十分に狙えます。この判定は目安です。実際のコースの高低差、当日の気温と風、その日の体調で結果は動きます。